2026.06.22 ZEBRAS

社長が一人で背負っていた未来を、ミドルが一緒に考え始めた。コミュニティ型伴走プログラム『WORK CROSS』2期参加・福井製作所の9ヶ月


社長が一人で背負っていた未来を、ミドルが一緒に考え始めた。コミュニティ型伴走プログラム『WORK CROSS』2期参加・福井製作所の9ヶ月のイメージ

ウエダ本社とZebras and Companyが共同で運営する、京都の中堅・地域企業のミドルマネージャー層に向けたコミュニティ型伴走プログラム『WORK CROSS』。3期目の参加企業を募集するにあたり、2期に参加した株式会社福井製作所のみなさん-加藤さん、小松さん、柏木さんの3名に、9ヶ月間を率直に振り返っていただきました。聞き手は、ウエダ本社の森島さんと、Z&Cの阿座上です。 

「答えをもらえると思っていた」という受け身のスタートから、社内に新しい会議体が生まれるまで。等身大の言葉からは、ミドル層のチームアップと一人ひとりの変化が、会社をそして地域を少しずつ強くしていくプロセスが見えてきました。 

そもそも、WORK CROSSってどんな場? 

右から福井製作所 小松さん、柏木さん、加藤さん、Z&C阿座上さん

 阿座上: 福井製作所のみなさんに話を聞く前に、運営責任者の森島さんから、改めてWORK CROSS がどんなプログラムなのか紹介してもらえますか。 

森島(ウエダ本社): はい。WORK CROSSを始めたのが3年前で、次でちょうど3回目になります。1期はウエダ本社単独で、2期から阿座上さんたちZebras and Companyと一緒に運営してきましたが、根っこのコンセプトは変えていません。 

世の中の大半を占めるのは、中小企業や地域企業です。そうした会社で、社員一人ひとりが自走的に、自分たちの手で会社を良くしていく。その先で社会も良くしていく⸺そんな組織づくりが、これからますます必要になると考えています。変化が激しくて正解がなくなっていく時代に、言われたこと・与えられたことをこなすだけでは立ち行かない。だからこそ、働く一人ひとりが自分で考え、実践し、行動していく組織にしていきたい。その思いから立ち上げました。 

森島: とはいえ、中小企業は1社でできることが限られているし、大企業に比べればリソースも少ない。でも、価値観を共有できる企業同士が集まれば、一緒に成長し、支え合える。共有できるものを共有しながら、コミュニティとして良くなっていける。そういう場をつくりたかったんです。 

なかでも、会社が変わっていくための軸になるのが、ミドル層や次世代リーダーと呼ばれる、幹部・幹部候補のみなさん。その方たちが中核になって組織を変えていく。そして企業の垣根を越えて、働く人同士が横につながると、そこから新しい価値が生まれていく。ある程度プログラムとして仕立てつつ、補助線を引きながら「自分たちでどう解釈するか」を、9ヶ月から1年弱かけて伴走していく。 それがWORK CROSSという場です。 

阿座上: ありがとうございます。今日は、その2期に実際に参加してくれた福井製作所のみなさんに、リアルな手応えを聞いていきたいと思います。 

「何か学べたらいいな」正直、受け身のスタートだった 

阿座上: 昨年度は参加いただき、ありがとうございました。まず最初に「参加してね」と声をかけられたとき、どんな気持ちでしたか? 

加藤(福井製作所): 私はウエダ本社さんの窓口も担当していたので、森島さんたちから「ミドル層が他社と一緒に学ぶプログラム」と聞いていました。ちょうど社内でも、グループ長として人材育成や組織づくりにもっと関わってほしい、というトップの思いがあった時期で。「何かいい発見があるかもしれない」と。正直に言うと、どちらかというと受け身の気持ちで参加したメンバーが多かったと思います。 

小松(福井製作所): 社内で話し合っていても、なかなか煮詰まってしまう。同じような立場・年代の人たちと話せば、自分自身も何か得られるんじゃないか。そのくらいの感覚で「行ってみよう」と。 

柏木(福井製作所): 社内の対話が煮詰まって、進捗が見えない雰囲気のなかで声がかかったので、「外からの刺激で何か学びがあれば」という気持ちでした。……正直、僕はかなり受け身でしたね。自分たちの悩みに答えを示してくれるんじゃないか、他社のいい事例をそのまま真似できたらいいな、くらいの気持ちもあったかもしれません。何の役に立つんだろうと思ってしまっていて、WORK CROSSの本当の狙いは、始めた時点では分かっていなかったと思います。 

阿座上: ありがとうございます。実は、そこが大事なんです。WORK CROSSの探求プログラムは、答えを配る研修ではないんですよね。前半は財務を読んだり、自社の過去・現在・未来を振り返ったり、自分たちが今どんな事業の流れのなかにいるのかを見る。そのうえで「10年先、自分たちが経営を担うとしたら何をするか」を考えて、参加各社の経営者の前でプレゼンしてもらう。普通の研修だと財務まで深く見ることは少ないので、あえて“経営者の視点”を起点に組み立てています。 

「出来の悪いグループやな」 中間発表が、ターニングポイントだった 

柏木さんが中間発表する様子

阿座上: 受け身で始まって、実際に受けてみてどうでしたか? 

小松: やっぱり一番効いたのは、夏の中間発表でした。他社さんが本気で会社を変えようとしている。その姿勢を目の当たりにして、「自分たちはまだ、何をしたらいいのか分かっていない」と痛感しました。 

柏木:そうですね。あの後は正直、「うちは出来の悪いグループやな」という空気が出ていました。でも、その気づきが大きかったんです。中間発表で自分たちのレベルを思い知って、他社が取り組みに込めた思いも聞けた。やはり、あれが一番の変化点でしたね。 

加藤: 僕も同じように印象的だったのは中間発表ですが、その中でもある参加企業の社長のフィードバックのコメントにハッとしました。その発言により全体の場のピリッと引き締まっていて、「もっと真剣に取り組まなあかん」と気づかされました。自分たちに足りなかったのは知識ではなく、覚悟だったんだと。 

阿座上: 前半の「これ、役に立つのかな?」は、最終的に回収されましたか? 

柏木: 一番回収できたのは、過去・現在・未来を振り返るワークでした。付箋を貼りながら「なんじゃこりゃ」と思っていたんですが、夏の発表を終えて「これから自分たちはどうするんだ」となったとき、結局、自社の歴史を遡らないと未来は描けない。あのワークに立ち返ることになりました。 

「同じ会社の4人で、こんなに話したことはなかった」 

阿座上: 会社としてだけでなく、チームとしての手応えもあったと聞きました。 

柏木: 月2回、1回3時間。移動も入れると4~5時間、同じ会社の仲間でずっと話す。こんな時間、普段はまずないんです。もともと社内でも「グループ長で集まって話そう」とはなっていたんですが、スケジュールが合わなくて、結局開けない。WORK CROSSは日程が先に決まっているから、必ず集まれる。 

小松: 仕事以外で、同じ立場の仲間とじっくり話す。それだけで、言いにくいことも言い合える関係になりました。 

阿座上: 仕事の外で長い共通体験を重ねると、関係性そのものが変わりますよね。正直、忙しいなかで「行かない」という選択肢もあったと思うんですが、みなさんちゃんと来てくれて、僕も嬉しかったです。 

社内に「クロスオーシャンミーティング」が生まれた 

阿座上: 受講後、会社のなかで起きた変化はありますか? 

加藤: 最終発表で「経営に関わる覚悟」を掲げて、それをそのまま形にしました。社長とグループ長が、各部門の戦略を一つのテーブルで出し合って、会社の未来のために何が必要かを練る会議を、4 月のキックオフから始めたんです。名前はWORK CROSSの「クロス」をいただいて、「クロスオーシャンミーティング」。 

阿座上: かっこいい。 

加藤: 「クロス」は各グループを交わらせる意味。「オーシャン」は大きな目標や航路のイメージで、社長の名前にもちなんでいます。しかもこの会議、ちゃんと事前に日程を決めて、みんなが必ず集まれるようにしている。WORK CROSSの運営の仕方を、そのまま社内に持ち帰った形ですね。 

森島(ウエダ本社): それ、初めて聞きました。いいですね。 

「お風呂で、会社のことを考えるようになった」 一人ひとりの変容 

阿座上: 会社の大きな変化に加えて、個人として変わったことはありますか? 

小松: ……お風呂で、会社のことを考える時間が増えました。家に帰ってからも、業務のやり方をどう変えようか、と。「誰かがやってくれる」ではなく、「自分がやらなあかん」という当事者意識が、一番持てたと思います。 

加藤: 心持ちが変わりました。自分の部署だけでなく、全体最適で考えることが増えた。ただ思った通りにはいかないんですよね。全体最適のために、ある部署に負担をお願いする場面で、納得してもらうのが本当に難しい。「どう進めるか」で悩むことが、以前よりずっと増えました。やっていることは変わらないのに、悩みだけ増えた(笑)。 

阿座上: それ、すごくいい変化だと思います。解像度高く“自分ごと”になった証拠ですよね。みんなの事情が分かるからこそ、気持ちよく動いてもらいたくて悩む。経営者目線のいちばん大事なところを掴んでもらえた気がして、僕としては「もやもやしてもらえて嬉しい」です。 

これから参加する人へ 

阿座上: 3期に参加する方へ、メッセージをもらえますか。 

柏木: アドバイス、というほどのものはなくて……結局は自分次第なんですよね。自分たちが動かないと、何も生まれない。「行け」と言われていやいや参加すると、何もないまま終わってしまう。少しでもポジティブな気持ちで、自分で「行こう」と決めた人のほうが、得るものはきっと大きいと思います。 

小松: 自分から参加する人も、言われて来る人もいると思います。でも、せっかく行くなら、考えて、行動する。それだけで得られるものは大きく変わるはずです。 

加藤: 最初は「ここで本当に学べるんかな」と疑心暗鬼でした。でも結果的に、自分たちの足らなさ、覚悟のなさという気づきを得られた。思ってもみない気づきが、他社との学び合いのなかで生まれます。だから、自信を持っておすすめします。 

ミドルのチームアップと、一人ひとりの変化が、会社と地域を強くする 

森島: 率直に、本当に嬉しいです。みなさんがもともと持っていた思いの背中を、ポンと押せる場になった。3期では、その後押しの“伴走”をもっと強めたいと思っています。頻度を2週に1回から3週に1回程度に見直して、各社が学びを自分たちの会社に落とし込む時間を厚くする。そして、2期・3期と続いてきたからこそ、期をまたいだ縦のつながりも育てて、コミュニティとしての和を大きくしていきたいです。 

阿座上: 僕は、個人の変容こそが起点だと思っています。ふとした時間に会社のことを考えてしまうー。それは、とても大きな変化です。一人ひとりの当事者意識が、チームのまとまりになり、会社の新しい動きになる。そして会社が強くなれば、その先にある地域も強くなっていく。経営者の方にとっては、次世代の“経営の仲間づくり”の場でもあります。ぜひ、背中を押して送り出してあげてください。 

WORK CROSS 3期は、現在、参加企業を募集しています。京都の中堅・地域企業で、次世代を担うミドル層とともに会社の未来を描きたい、そんな想いをお持ちの企業のご参加を、お待ちしています。 

▼ 募集要項・お申し込みはこちら
https://www.ueda-h.co.jp/event/14580/

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ゼブラ編集部

「ゼブラ経営の体系化」を目指し、国内外、様々なセクターに関する情報を、一緒に考えやすい形に編集し、発信します。