2024.09.17 ZEBRAS

Z&C入社は「ずっとやりたかったこと」に挑戦する“再スタート”——コンサル、事業会社を経てジョインした玉岡佑理さんの志


Z&C入社は「ずっとやりたかったこと」に挑戦する“再スタート”——コンサル、事業会社を経てジョインした玉岡佑理さんの志のイメージ

2024年5月、Zebras and Company(以下、Z&C)に新たなメンバーが加わりました。コンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニー、AI教育ベンチャーのatama plusを経て入社した、玉岡佑理さんです。

経営支援や事業開発の経験を積んできた玉岡さんは、Z&Cへの転職を、「それまでの経験を活かして、ずっとやりたかったことに挑戦する再スタート」と捉えているそうです。

玉岡さんが「やりたかったこと」とはなにか。半生やキャリアを振り返りながら、転職の決め手や入社して感じているZ&Cのカルチャー、これからの挑戦について伺いました。

「教育は人生を変えるドライバー」と実感した学生時代

——まずは玉岡さんの経歴を教えてください。

大学卒業後は、新卒でベインアンドカンパニーに就職しました。約4年弱ほどお世話になり、消費財や精密機械などの様々な領域で、中期経営計画の策定やコスト削減等の幅広いプロジェクトを経験させていただきました。

それと並行してやっていたのが、プロボノ活動です。ベインアンドカンパニーはプロボノにもとても力を入れていて、興味がある人は携わることができます。私も自分から手を挙げて、教育や児童福祉領域のNPO団体などとの協業プロジェクトを経験させていただきました。

徐々に「教育や福祉の領域に携わる仕事がしたい」という思いが強くなり、転職を検討するように。中間支援系の企業も選択肢にありましたが、組織のダイナミクスや事業の現場のことを経験するために、AI教育のスタートアップ「atama plus」に転職しました。atama plusでは、在籍していた2年間で、法人営業や新規事業開発を経験させていただき、Z&Cへの入社に至ります。

——教育や児童福祉の領域に興味を持ったきっかけは、なんだったのでしょう?

学生時代の経験が原点にあります。私は小学生のころは学校と近所の習い事に行くくらいで、地元からあまり出たことがありませんでした。進学や将来の選択肢について深く考えたことはなく、周りに中学受験をする子もいない。それなりに楽しい生活を送っていましたが、いま考えると限られた世界のなかで生きていたと思います。

ただ、ふとしたきっかけで近所の個人塾に通い始めたことで、人生が変わっていきました。両親があまり教育に詳しくないこともあり、学校の勉強の補足になればという気持ちで入塾したのですが、そこが実は本格的な受験指導をする塾で。負けず嫌いな性格もあり必死に勉強していたら、無理だと思っていた第一志望校に運よく合格できたんです。

——中学に入ったことで、どんな変化があったんですか?

出身もバックグラウンドも違う同級生たちと出会い、自分のなかの世界が一気に広がりました。その学校はすごく自由な校風で、生徒自身が授業を組み立てることができたり、自分でテーマを見つけて3年間自主研究をしたりします。通っている生徒も個性的な人が多く、フィンランドが好きすぎて国旗を持ち歩いている子や、コップにうなぎの絵を書いてペットとして飼っている子もいたくらい(笑)。

将来に関しても、芸能に進む子や東京大学を目指している子、バイオリニストになるために留学する子など、さまざまでした。好きなことを追求する子たちに囲まれて、私自身も自分の好きなものや将来について考えるようになったんです。そのときの経験が、今につながっています。

——環境や人との出会いで人生が変わったと。

そうですね。私の場合は個人塾や中学受験がきっかけですが、そうした些細な出来事によって視野が広がったり、選択肢が増えたりすることで人生は変わっていくと思います。「勉強」や「受験」に限らず、多様な人たちと出会うことや、自分の興味関心を追求してみることなどを含めた、広義の意味での「教育」や「教育機会」が、人生を変えるドライバーになる。そんなことを自身の経験から感じたため、教育や子どもに向けた児童福祉に対して興味を持つようになりました。

「ソーシャルセクターへお金が流れる仕組み」をつくりたい

——実際にベインアンドカンパニーで教育や児童福祉領域のプロボノをやってみて、学んだことや気づいたことはありますか?

NPOとの協業を通して、世の中には負を感じている人たちがたくさんいることを知りました。そして、そうした方々の負や社会課題を解消しようとしている「思いを持って活動する人や企業を支援したい」と思うようになりました。

大企業のCxOを支援するコンサルタントも、社会に大きなインパクトを与える仕事だと思います。でも、それは資本主義の上のほうで行われていること。世の中を広く見渡せば、もっと多様な困りごとや、解決が待たれる社会課題があります。どっちが大事かということではなく、私自身としては、後者に取り組みたいと思ったんです。

一方で、そうしたソーシャルセクターの抱える構造的な課題についても知りました。NPOの経営者の困りごとの根本には、やはり資金不足があります。助成金や寄付がなかなか増やしづらい社会のなかで、既存のビジネスの領域から「ソーシャルセクターへお金が流れる仕組み」をつくることが必要だと感じました。

——「お金の流れを変えていく」というのは、Z&Cの考え方につながってきますね。その後、事業の現場を経験するためAI教育スタートアップのatama plusに入社されましたが、そこではどのような経験を積みましたか?

1年目は、カスタマーサクセスとして学習塾や予備校に対する導入支援やアップセル提案を行い、2年目からは、toCの新規事業の立ち上げに関わることに。生徒が0人のところから、プロダクト、コーポレート、マーケティング、セールスなど、社内の様々なステークホルダーとやりとりしながら、サービス企画に関わることをなんでもやりました。

経験できて特によかったのは、組織のコンフリクトとの向き合い方を学べたことです。大きくなるにつれて意見の違いが増えていく組織を、ロジカルな思考だけでは動かすことはできません。他者の立場に立ち、気持ちを汲みとり、心地よく動いてもらう。そんな「ソフトな組織の動かし方」を知ることができました。

——論理と情理の両方で、人や組織を動かす経験をされたんですね。

また、事業会社目線で資金調達を経験できたのもよかったです。atama plusが大型の資金調達をした際は、多くの新しい仲間が入ってきて、会社のカルチャーが育っていきました。それと同時に、投資家の経営参画により、会社の意思決定や事業の方針が変わっていくのを目の当たりにしたんです。

担当していた事業の方針も変化するとなったタイミングで、改めて自分のキャリアについても考え直すことに。それから新規事業の1期目までやり切ったうえで、Z&Cへ転職しました。

投資や経営支援は手段。「社会システムの変革」という目的に参画

——ここからZ&Cへの転職の経緯を伺っていきたいと思います。まず、出会いはいつ頃でしたか?

2023年7月です。以前から面識のあった一般財団法人 社会変革推進財団 (SIIF)の方から、紹介していただきました。当時は、まだ前職の事業が1期目の途中でしたが、興味が湧いてお話を聞かせてもらうことに。Z&Cのメンバーと定期的に話しながら、ときには副業としてプロジェクトを手伝わせていただきながら、理解を深めていきました。

——入社の決め手となったものを教えてください。

大きくは2つあって、1つは「社会性と経済性の両立」というコンセプトへの共感です。

もともとコンサルにいたので、会社が利益をあげて成長することの大事さはよく知っています。しかし、いわゆる「スタートアップ的な急成長急拡大」だけが正解ではないとも感じていました。より長期的な目線を持ちながら、社会的インパクトを追求して、それでいてきちんと儲かるような経営のあり方はきっとできるはず。そんな思いがZ&Cの考えと重なったんです。

もう1つの決め手は、Z&Cの社会を変えるアプローチへの共感です。

ソーシャルセクターへの携わり方として、インパクト投資やコンサルティングも考えられますが、それはあくまで手段の一つ。Z&Cがそれらの手段に固執せず、ムーブメントづくりやゼブラ経営の理論化といった多様なアプローチを用いて、社会システムの変革に挑んでいることに面白みを感じました。

——入社して約4ヶ月が経過しましたが、実際に働いてみて、仕事や環境についてどのような印象を持っていますか?

まず、仕事の面でいえば、思った以上に業務範囲が広く、影響の大きい仕事をしていると実感します。関わる企業は子ゼブラ(ベンチャーのゼブラ企業)から親ゼブラ(大手のゼブラ企業)まで様々なフェーズがあり、プロジェクトの種類も求められるスキルも多様です。

たとえば、子ゼブラの場合は、まだ立ち上げ時のカオスな状況なので、特定のテーマの支援をするというよりは、その時その時の経営者の悩みを柔軟に解決していくことが求められます。一方、親ゼブラの場合は、テーマがある程度決まっていて、複雑性が高く、専門性の高い支援が求められる。どのような関わり方が最適か、自分が発揮できる専門性はなにか、と日々考えさせられます。

また、環境の面でいえば、ゼブラらしい“群れ”、つまり仲間の多さを日々感じています。全国のゼブラ企業のみなさんと、会社だけではなく個人としても温かい関係性が築かれているんです。

ゼブラのみなさんは、この概念や世界観を一緒に盛り上げていこうとしてくれています。だから、自律や健全な競争も大事にしたうえで、賞賛しあったり協力しあったりする。関係者の入っているメッセージグループになにかしらのアイデアを投稿したら、すぐに「面白いね!」となって協力者が現れることもあります。アイデアが形になっていくスピードの早さは、他の環境ではなかなか見たことないほどです。

不平等で不公平な世の中でも、自分の望む人生を歩める人を増やしたい

——改めて、Z&Cへの入社は玉岡さんにとってどんな意味を持つのでしょう?

私のなかでは「再スタートを切った」という認識に近いんです。20代のうちは力をつけるためにコンサルで働き、事業会社で事業開発にも携わりました。そして、ようやく「ソーシャルセクターにお金の流れる仕組みをつくる」というずっとやりたかったことに、足を踏み入れたわけです。見る人からしたら、狭い業界に入ったと思われるかもしれませんが、とりうるアプローチはむしろ広がったと思っています。

——社会課題の範囲は広いですからね。特に、注力したいと思っている課題領域はありますか?

先ほど話したように、個人的には教育や児童福祉領域に強い興味があります。これまで中高大、社会人と進むなかで、“いい”家庭環境で生まれた人たちが、“いい”教育機会を得やすく、“いい”会社に入りやすい構造を目の当たりにしてきました。「生まれた環境」という自分では選べない要因によってスタートラインが異なり、それが教育・経験・資本の格差につながっていくことに「不平等さ」や「不公平さ」も感じています。

もちろん、“いい”大学に入ることや、“いい”会社に入ることが、人生の唯一の正解とは考えていません。一人ひとりが自分のやりたいことや生きがいを見つけて、自分の人生を生きることが大切。その壁となるのが「生まれた環境」であってほしくないんです。だから、「不平等で不公平な世の中でも、自分の望む人生を歩める人を増やす」ために、社会の負を解決していきたいと思います。

また、教育や児童福祉領域とは一見遠く見える地球温暖化、森林破壊などの課題も、めぐりめぐって私たちの生活に大きな影響を及ぼしていると考えています。Z&Cの一員としては、自分の関心のあるテーマだけでなく、それらの課題にも目を向けながら解決に向けて動きたいです。

——最後に意気込みを教えてください。

今はまだ、ゼブラ企業のダイナミクスやソーシャル領域のファイナンスのことをキャッチアップしている段階です。今後は、それらと過去の経験を掛け合わせて「自分らしい専門性」を見つけ、プロジェクトを一人で任せてもらえたり、一緒に働く人たちの信頼を得られたりする人になっていきたいです。

また、そうやって人に貢献していくためにも、まずは自分自身の心身の健康が大事だと思っています。私自身、以前体調を崩していたこともありました。「自分が幸せだから、他の人を幸せにできる」ということを肝に銘じて、仕事を含めた生活全般を豊かなものにしていきたいと思います。

PROFILE

Fumiaki Sato

編集者・ライター・ファシリテーター。「人と組織の変容」を専門領域として、インタビューの企画・執筆・編集、オウンドメディアの立ち上げ、社内報の作成、ワークショップの開催を行う。趣味はキャンプとサウナとお笑い。