2026.01.26 ZEBRAS
2025年の実践と、2026年に向けた視点〜Zebras and Company 2026年 新年のご挨拶〜
ゼブラアンドカンパニー(以下、Z&C)共同創業者の阿座上/田淵です。
新年のご挨拶として作ったこの記事も気づいたら公開が1月末になってしまいました。
改めまして、昨年も私たちの活動に関わり、支えてくださった皆さまに心より感謝申し上げます。
前提条件が崩れつつあることを実感した一年
2025年は、社会や経済を支えてきた前提が、同時多発的に揺らいだ一年でした。
国際的には、戦争や地政学的緊張の長期化により、エネルギー・食料・資源をめぐる不安定さが常態化しました。国内に目を向けても、政権交代や政策優先順位の揺れのなかで、人口減少や地域産業の担い手不足といった構造的課題が、もはや先送りできない現実として立ち現れています。
こうした変化の中で、私たちが強く感じたのは、
「ゼブラ企業という概念を語ることの先に進むフェーズに入った」ということでした。
どれだけ正しい理念を掲げていても、社会のなかで“機能する仕組み”として実装されなければ、変化は生まれません。
2025年は各所で我々以外にも「ゼブラ企業」を語ってくれる人たちが増え、自分たちの役割が変わってきていると実感する一年でした。
Z&Cが2025年に進めてきた「3つの実装」
そうした時代認識のもと、2025年のZ&Cは、実装に軸足を置いた一年でした。
私たちの取り組みは多岐にわたりますが、大きく分けると次の3つの実装に整理できます。
1|投資先による成長の実装 ― ゼブラ企業はどう成長するのか
2025年、Z&Cは新たな出資を行うとともに、既存の出資先においても具体的な成果が見え始めました。これらの成長は1社のみで成長するのではなく、まさしくDuzzleという群れで成長するゼブラ企業の姿を示しています。
1号出資先である陽と人は、パラマウントベッド社と共に「サイレントシフト(Silent SHIFT)」という活動を開始しました。
更年期世代の女性が、家庭や職場で無意識に引き受けてきた役割や健康課題によって、静かにキャリアから離れていく——そうした構造的課題に対し、企業の意識変化を起点に社会を変えていく挑戦です。女性だけでなく男性も含めた調査を行い、多様な立場を横断しながら、新たな気づきを社会に届けようとしています。

3号出資先であるNEWLOCALは、街づくりスタートアップとして多地域での事業実装を進めながら、さらなる成長に向けた資金調達を実行しました。
サムライインキュベートをリード投資家に、JR東日本・西日本、KDDIなどの事業会社を含む約4億円の調達を完了し、事業実装と成長、資金調達を同時並行で進めています。その姿は、「守るべきものがなくなる前に成長する」という、ゼブラ企業の一つの成長モデルを示してくれました。


2|仕組みとしての実装 ― 共創による成長環境づくり
単体の企業支援にとどまらず、Z&Cは「成長が生まれる環境そのもの」をつくることにも取り組んできました。

親ゼブラ企業の日鉄興和不動産のFuture Style総研と共に発足した共同研究プロジェクト、POST GROWTH CITY LAB(PGCL)では、人口減少や気候変動を背景に、「これからの都市の成長はどこから生まれるのか」をテーマに、都市と地域の新しい関係性を探っています。
経済・文化・インフラ・生活という4つの観点と、生活圏の規模を横断しながら分析を行い、次世代の投資や事業開発のヒントを探究しています。

また、親ゼブラ企業との取り組みでは、日建設計との共同プログラムである「FUTURE LENS」も一期目に3社が採択され共同実証研究プロジェクトが進行しています。


京都の兄ゼブラ企業ウエダ本社と共に実施したコミュニティ型経営学習プログラム、Work Crossでは、複数社の経営幹部候補が9ヶ月間にわたり、自社の歴史や財務、10年先の未来と向き合い、次年度に実装する事業プランを描きました。
「事業」ではなく「経営」を自分ごととして引き受ける覚悟を持ったチームが生まれたことは、私たちにとっても大きな手応えでした。
2025年、ローカル・ゼブラ政策は2期目を迎え、全国各地でゼブラ企業による事業実証や連携支援が進められました。
この実証事業では、補助金による個別支援にとどまらず、資金調達、人材、インパクト評価といった観点から、ゼブラ企業が地域で動き続けるための条件を実践的に検証する取り組みが行われています。
12月には香川県三豊市にて、国会議員、中小企業庁・金融庁、地域金融機関、実践者が集うローカル・ゼブラ金融カンファレンスが開催されました。
企業・金融・政策が一堂に会し、資金供給を超えた「地域経営としての金融」のあり方が共有され、分断されがちな立場を越えて関係性を編み直す必要性が、あらためて確認される場となりました。
この実証事業で得られた知見は、Z&Cにとっても、2026年以降の地域経営や投融資のあり方を検討するうえで、重要な土台となっています。
3|知としての実装 ― 問いを社会に開く
2025年は、実践のなかで生まれた問いを、社会に開いていく一年でもありました。

大阪・関西万博では、Cartier Women’s Initiativeおよび社会変革推進財団と共に、ウーマンズパビリオンにて4つのセッションを開催しました。
ジェンダー、働き方、ファイナンス、イノベーションといったテーマを、未来思考の文脈で捉え直し、制度や構造のレベルから問い直す場となりました。

また、創業から3年間をまとめた「IMPACT JOURNEY REPORT 2021–2023」を発刊しました。
このレポートは、成果の羅列ではなく、試行錯誤や問いの変遷を“旅の記録”としてまとめたものです。ステークホルダーとの対話を重ねながら、定量と定性の両面からインパクトを捉え直す節目となりました。


さらに、京都で開催したZEBRAS ACADEMIA 2025では、21社のゼブラ企業の研究成果を共有し、事業・ファイナンス・組織・公民連携という4領域の実践知を交換しました。
知と実践を往還する学びの場として、今後も深化させていきたいと考えています。
5年間で見えてきたこと
設立から5年。
出資、伴走、政策との対話、地域での共創を通じて、私たちは多くのことを学んできました。
ゼブラ企業は、善意や理想だけでは動き続けられません。
必要なのは、事業として成り立ち、仲間と支え合い、社会のなかで機能する構造です。
成長とは、単なる拡大ではなく、関係性の設計によって生まれるものだということ。
投資、政策、地域は切り離して語れず、現場と制度、実践と思想を往復し続ける必要があること。
これらは、机上の理論ではなく、現場から導かれた実感です。
2026年、実装という第2フェーズへ
2026年、Z&Cは「実装のフェーズ2」へ進みます。
ローカル・ゼブラ政策の深化、地域経営の実装、そしてゼブラ企業向け投融資の新たな資金の流れづくりに、本格的に取り組んでいきます。
あわせて、事業やプロジェクトの広がりに応じたチームづくりにも力を入れていきます。
誰でもいいから増やすのではなく、共に考え、つくり、実装していける仲間と出会うこと。その一つとして、佐々木さんにもアドバイザーとして参画いただきました。
仮説を検証し構想を語るフェーズは終わり、機能する仕組みを社会に実装できるかどうかが問われるフェーズに入ると思っています。
これまで培ってきた経験と関係性を土台に、一歩ずつ、しかし確実に、実装を進めていきます。
2026年も、どうぞよろしくお願いいたします。
PROFILE
ゼブラ編集部
「ゼブラ経営の体系化」を目指し、国内外、様々なセクターに関する情報を、一緒に考えやすい形に編集し、発信します。