2024.01.04 ZEBRAS
Zebras and Company 2024年新年のご挨拶
はじめに
みなさま、新年あけましておめでとうございます。ゼブラ アンド カンパニー(以下、Z&C)共同創業者の田淵です。
はじめに、この度の、令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々、および被災地支援に行こうとされていた中事故に遭われた海上保安庁職員の方々に、ご冥福を心よりお祈り申しあげますとともに、被害にあわれた皆様、ご家族の方々にお見舞いを申しあげます
2021年に設立したZ&Cが、はや設立3周年を迎えようとしています。最近は設立初期に反応の多かった経済性だけでなく社会性との両立を目指すアーリーステージの企業やゼブラ的価値観に共感していただいた老舗企業に止まらず、インパクト投資やESGなどの流れともあいまって大企業でのCVC/新規事業、統合報告書に関わるニーズや、さまざまなセクターからのゼブラ企業への投資意識も高まってきたように感じています。
日頃からお世話になっているみなさまへ、昨年一年間のZ&Cの活動や学びについてお伝えするとともに、今年の意気込みについても記しておきたいと思います。
2023年のZ&Cの活動
ゼブラ企業が国家戦略の一部に
さまざまな場面で何度も書いているのでくどいかもしれませんが(笑)、昨年の大きな活動/出来事の一つとしては、内閣府が毎年発表する国家戦略とも呼べる「骨太の方針」とその詳細が記された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」にゼブラ企業が掲載されました。「地域の中小企業から、地域の社会課題解決の担い手となる企業(ゼブラ企業)を創出し、インパクト投融資を呼び込むため、ソーシャルビジネスを支援する地域の関係者を中心としたエコシステムを構築する。」と記載されています。
これを受けて、経済産業省 中小企業庁で「地域の社会課題解決促進に向けた エコシステム研究会」が立ち上げられ、私も研究委員の一人として地域のゼブラ企業を取り巻くエコシステムを作るための議論に加わっています。
ゼブラ経営の実装に向けた具体的な取り組みや事例
6月には、CONDÉ NAST JAPANと協働してTRC(The Regenerative Company)というフレームワークを作り同社が発行するWIREDで取り上げていただきました。また、8月に「ゼブラ企業」が分かる ガイドブック『ゼブラ企業カルチャー入門』を出版後、日本全国で出版イベントを行っています。各地のゼブラ企業の方、市長やゼブラ企業支援者と対談させていただいたりしていますが、毎回イベント後の交流なども含めて積極的に参加者の方同士の交流が行われる場になっており、ゼブラ企業コミュニティができていっている実感を感じています。
その他にも、Z&Cが開発した投資手法であるLIFEを参考にしていただいたというJR東日本さん、融資で大きな資金調達を行うマルゴトさんなどにZ&CのZebras Management Journalでインタビューさせていただきました。
4件目の出資:地域づくりを行うNEWLOCAL
既存の出資先3社も順調に成長されている中、8月に新たにNEWLOCAL株式会社へ出資を行いました。自然電力さん、個人投資家の方たちと一緒に出資を行わせていただき、また共通の志を持つ仲間が増えた気がします。人口減少という社会の新たな前提の中で、地域づくり、またそのための特に不動産を活用した新たなファイナンスのあり方をNEWLOCALと一緒に模索していきます。
共同創業者の新たな門出。ゼブラらしいインクルーシブな組織とガバナンス体制へ
昨年のZ&Cにとっての大きな出来事の一つは体制変更でした。共同創業者の陶山さんが、非営利・行政・政治の領域での活動に専念するために共同代表を退任することとなり、代わって、Z&Cの出資先の陽と人の代表、小林味愛さんが社外取締役に就任してくれました。また、新社員として田中苑子さんがジョインしてくれました。起業家としての目線や地域づくりの目線など新たな視点を小林さんから入れてもらうとともに(記事参照)、ピアニストとしてまたこれまでのビジネスやプライベートの経験などから培った豊かな感性からの視点を田中さんには期待しています(記事参照)(男性三人で立ち上げたZ&Cのジェンダーバランスはぐっと変わりました笑)。
Covid19社会から明けたZebras Uniteの再始動と、日本からのグローバルへの発信
海外に目を向けてみると、Z&Cのパートナーであり、私自身も社外役員を務めるZebras Uniteが、共同創業者での経営体制から新たな体制へ変更し、新CEO(Managing Director)にMadelynn Martiniereが就任しました。
また、Zebras Uniteは2017年以来5年ぶりに、ゼブラ企業の集まりであるDazzleConをアメリカのワシントンDCにて10月に開催し世界各地からゼブラ企業や支援者が集まりました。骨太の方針への掲載を始め、ゼブラムーブメントとして独自の展開を遂げている日本は世界からも注目されています。私も「ゼブラ経済における公共政策の役割」というパネルディスカッションにホワイトハウスアドバイザーのVishant Sharmaとコロラド大学教授のNathan Schneiderと登壇させていただき、日本での取り組みを紹介させていただきました。
ゼブラ企業のより深い社会実装に向けて
昨年は体制変更の準備などで、活動の幅が狭まるのではないかと思っていましたが、結果的には、骨太の方針への掲載、書籍発売、NEWLOCALへの出資などゼブラ企業の社会実装に向けて色々なことを達成できた年になりました。書籍イベントで地域を回る中でも、各地で協力してくれたパートナーとの関係性を深めることもでき、ゼブラ企業への共感者がまた一段と増えた実感があります。
この3年間を振り返ってみると、Z&Cは、既存の枠組みやカテゴリーに捉われすぎず、ゼブラ経営を社会実装し、優しく健やかで楽しい社会を創るという我々のビジョンを掲げ、我々が理想とするゼブラ経営を認知してもらい、形作っていくための事業活動をしてきました。投資を通じてゼブラ企業への投資手法やガバナンス面での新たなあり方を創り、経営アドバイザリー業務を通じて企業がゼブラ経営を行うことを支援し、メディアを通じて世論に働きかけ、政策アドボカシーを通じて政府の方たちと協業してきました。これら全ての活動が相互作用的に働くことで、さまざまな分野でゼブラ企業に関する仲間が増えムーブメントとなっていると思います。
今年は、中小企業庁での地域づくり、2回目となる Zebrahoodの開催、ゼブラ企業への投資事業増加や大企業支援に加えて、上述のZ&Cの事業活動の言語化・抽象化を含めて、これまでの成果やそこからの学びなどをまとめてみなさまと共有したいと考えています。さらに、これまで以上に多くの方がゼブラ経営やゼブラ金融を学び実践する関わりしろを作っていきたいと思っています。それらによってゼブラムーブメントが本当の意味での社会実装に向けて一歩近づくと信じています。
皆様には、今年も引き続き温かく見守っていただきながら、優しく健やかで楽しい社会づくりを一緒に行っていければ幸いです。
PROFILE
ゼブラ編集部
「ゼブラ経営の体系化」を目指し、国内外、様々なセクターに関する情報を、一緒に考えやすい形に編集し、発信します。