2025.01.08 ZEBRAS
2024年の振り返りと次なる挑戦に向けて
あけましておめでとうございます!
2025年がスタートしましたね。今年もみなさんが健康で充実した一年を過ごせるよう、心から祈っています。
国内では岸田政権から石破政権への交代、米不足。海外でも終わらない戦争や米国大統領初め多くの国のリーダーの交代など、昨年も社会全体が大きく動いた一年でした。
私たちに強く関わる部分では岸田政権の後退により「新しい資本主義」という言葉は掲げられなくなりましたが、新しい政権では地方創生への取り組みがより強化されていて、ゼブラ企業にとっては引き続き追い風を感じています。
また昨年はZ&Cの多くのメンバーが地域に足を運ぶ機会が増え、現地で活躍する皆さんのお話を聞いたり、実際の様子を見たりする機会もたくさんありました。高齢化の進む地域社会のなかで、次世代を育てたり課題を解決したりする時間がどれくらい残っているのか、改めて考えさせられる場面も多かったです。
そんな状況だからこそ、これまで培ってきた有形・無形の資産を活かして、一歩先へ進むきっかけをつくりたい。2025年は大きく飛躍できる一年にしていきたいと思っています。ここからは2024年の活動を振り返りつつ、今年に向けた意気込みをまとめました。
2024年の振り返り
出資先のゼブラ企業の成長と変化
昨年の初めにはZ&C初の出資先経営者との合宿も行いました。
私たちが兄ゼブラ企業代表と思っている石見銀山にある群言堂さんの宿に泊まり、彼らともディスカッションをさせてもらった贅沢な時間でした。
ファミリー感が一気に増した時間だったと思います。
そしてどの会社も順調に事業を伸ばしながら、社会的なインパクトも出し始めた1年でもあったと思います。
特に「陽と人」は、出資から2年が経った今、ステークホルダーとのつながりが大きく変化して、財務面・社会面ともに成果がはっきり見えてきました(詳しくは記事をご覧ください)。「ふくしま経済・産業・ものづくり賞」で最高賞となる知事賞の受賞や、GOOD DESIGN賞も受賞するなど、事業の成長だけではなく多くの方からも取り組みを評価され本当にうれしいニュースでした。
全国で地域創生に取り組む「NEWLOCAL」は、京都の与謝野でローカルフラッグと手を組んで新事業をスタート。中小企業庁のローカル・ゼブラ実証事業にも採択され、ますます目が離せません。
研究者と企業や社会を繋げなおすことで日本に新のイノベーションが生まれることを目指すエッセンス社も2回目となるエッセンスフォーラムの開催で1000人規模の人を集め、新機能としてAIを活用した研究者紹介サービスをローンチするなど、一歩づつ確実に前進しています。
今年もファミリーと一緒に事業を進めながら、新しい出資先を模索し、ゼブラ的投資の新しい形を作っていきたいと思っています。
『ファイナンスをめぐる冒険』の出版
特設サイトでは日本事例も順次公開。社会的インパクト連動型融資など手法が満載のゼブラ企業向けファイナンス書籍『ファイナンスをめぐる冒険』12月4日発売!
12月には、英治出版さんから『ファイナンスをめぐる冒険』という翻訳書をリリースしました。2年以上かけて準備してきた本で、パーパス(社会的使命)を重視した資金調達の手法を分かりやすく紹介しています。
Z&Cは監訳に加えて、ファイナンスを解説する動画や、タームシート(契約書)などをまとめた特設サイトの制作にも関わっています。多くの企業、特にゼブラ企業に役立つ情報満載なので、ぜひ手に取っていただけたらうれしいです。
特設サイト「ファイナンスをめぐる冒険 」オンラインコンパニオン
ローカル・ゼブラ推進政策の実証事業
中小企業庁と共に検討協議した令和6年度ローカル・ゼブラ推進政策の採択事業20社が決定
昨年の新年のご挨拶でも少し触れましたが、中小企業庁の「地域の社会課題解決促進に向けたエコシステム研究会」での議論を経て、6月に全国20の地域でローカル・ゼブラ推進政策の実証事業がスタートしました。各地でゼブラ企業中心のまちづくりが進み、採択された企業同士のつながりも広がっています。
この実証事業では、Z&Cの田淵が伴走支援委員を務めていて、今年2月には各社の成果が発表される予定です。どんなレポートが出てくるのか、私たちも楽しみです。
第2回ZEBRAHOODを開催
6月には「スクランブル 〜次の100年をみんなで作る最初の1日〜」をテーマに、第2回ZEBRAHOODを下北沢で開催しました。パネルディスカッションやワークショップ、展示会、マルシェなど、街全体を巻き込んだ分散型イベントを実施。当日は梅雨の時期で大雨にもかかわらず、500人以上の方が参加してくださり大盛況でした。いろんなゼブラ企業や共感者同士がつながり、新しい連携もたくさん生まれたように感じます。
ZEBRAHOODセッションレポート
https://inquire.jp/2024/09/26/zebrahood-2024-talk-1/
https://inquire.jp/2024/09/26/zebrahood-2024-talk-2/
https://inquire.jp/2024/09/26/zebrahood-2024-talk-3/
https://inquire.jp/2024/09/26/zebrahood-2024-talk-4/
日建設計とのFUTURE LENSプロジェクト
共創型社会環境デザインプログラム『FUTURE LENS』本募集開始!ローカルゼブラが取り組む事業の価値をはかり/ひろめることで、まちの未来を創出
地域の視点(レンズ)から、都市の未来を構想する。日建設計×ゼブラによる共創事業「FUTURE LENS」に込めた思い
11月には、社会環境デザインという方法で人々の暮らしを豊かにする設計会社であり親ゼブラ企業である日建設計とFUTURE LENSの共同プロジェクトを発表しました。
地域のゼブラ企業が取り組む事業の価値の「体系化」や、いち早くピントを合わせ始めている社会課題の「可視化」を通じて、彼らの「未来への視点(FUTURE LENS)」を社会に広げるための仕組みとして考案したプログラムです。
採択企業3社には実証研究費が提供されるほか、Z&Cと日建設計(PYNTチーム)が伴走支援する予定です。
1/17まで応募可能ですので、ご興味ある方はぜひ募集内容をご覧ください。
どんな企業が集まり、どのようなプロジェクトが始まるのか、こちらも今から楽しみです。
新メンバー加入&ファイナンスの未来を一緒につくる仲間募集
5月には、5人目のメンバーとして玉岡佑理さん(たまちゃん)が入社しました。ベインアンドカンパニーやアタマプラスでの経験を活かして、大企業向けの支援から投資のデューデリジェンスまで幅広く活躍しています。
新メンバーを募集します!共同創業者2名と語る、ゼブラアンドカンパニーの現在地・仕事観・カルチャー・働き方のすべて
「個」として自立し「群れ」として共創する。新メンバー採用にあたって、ゼブラアンドカンパニーで働く“リアル”を社員3名に聞いてみた
また、ゼブラ企業向けのファイナンスを必要とする声がどんどん増えてきたこともあり、昨年末からは新しいメンバー募集も始めました。「ゼブラ企業向けの新しいファイナンスを一緒につくりたい!」という方は、ぜひ気軽にお声がけください。
オウンドメディアでは連載企画の開始
これまでもゼブラ企業の紹介やゼブラ的なファイナンスの事例紹介などで記事を作ってきましたが、改めて編集や執筆をしてくれる仲間たちとともに編集会議を開始し、いくつかの連載を始めています。
ゼブラ企業の実態として、スタートアップ領域が多いと思われることが多いのですが、親・兄姉・子ゼブラという企業体がそれぞれあるということがわかってきたため兄姉ゼブラをご紹介する連載を始めました。
兄姉ゼブラ特集
日本再建の鍵は地方にあり。地域に根ざす「兄ゼブラ」の存在意義を、ウエダ本社・岡村充泰さんと考える
また、ゼブラ的な経営を考えていくために、企業の所有の在り方や、地域社会をゼブラ企業が中心となって経営していく方法、森林や海といった産業の基礎となるものたちが増えることに取り組む事業やその方法の模索といった連載をこれから始めていきます。
所有をめぐる旅
共同所有は、組織運営の新たな常識となる。「Exit to community」の提唱者 ネイサン・シュナイダーさんと探る、これからの所有
所有する資産の可視化、分解、再分配によって新しい価値を生み出す。古田秘馬さんが三豊で仕掛ける地域の新たなイグジットモデル「ローカルIPO」
世界最大級にして160年の歴史を持つ「従業員保有企業」。イギリスJohn Lewis Partnership社の歴史とガバナンスシステム
今後も自分たちの活動や事例を紹介するだけではなく、ゼブラ経営者や仲間たちが未来を考えるヒントになる記事を作っていこうと思っています。
ゼブラムーブメントのこれからと、次のチャレンジ
Z&Cを立ち上げてからまもなく4年、ゼブラ企業の考え方や価値観に共感する仲間が増え、少しずつ社会に浸透してきたと実感しています。今後は、ゼブラ企業自身が主体となり、親・兄姉・子ゼブラ企業同士での協業や、ゼブラ的資金提供者や支援者と一緒に事業を展開していくというゼブラ企業が持つ「群で解決する」という特徴を体現する事例が増えていくでしょう。そういった動きに加え、行政や自治体だけではなく、各地の青年会議所などのような民間任意団体もゼブラ企業の考え方に共感し動き始めてくれており、ゼブラムーブメントもさらに大きくしていくフェーズになりそうです。
「ゼブラ企業」という経営のあり方に共感する人々がつながり、学び合い、支え合うことで、社会にインパクトを与えるスピードも加速していくと思います。
そして、そういったゼブラ企業を体現する事業が増えていくにつれてに欠かせないのが、ゼブラ企業を支援してくれるゼブラ的資金提供者の存在です。Z&Cはこれまでも、事業成長と社会課題の解決を同時に支えるファイナンスの形を模索してきましたが、書籍『ファイナンスをめぐる冒険』の出版や、特設サイトでの事例紹介や解説をはじめとした活動を筆頭に資金提供者にとっての新しい選択肢を生み出して行きたいと思っています。そうすることで、ゼブラ企業と資金提供者が同じ未来を目指す仲間として自立的に各地で連携し、切迫した社会課題に対しても加速度的に対応する持続可能な新しい連帯が生まれると信じています。
2025年は、Z&Cにとって5年目となる年。
私たち自身もこれまでよりもまた一段深く強い新しい挑戦を始めようと準備中です。
これからにもご期待ください。
本年もよろしくお願いします!
PROFILE
ゼブラ編集部
「ゼブラ経営の体系化」を目指し、国内外、様々なセクターに関する情報を、一緒に考えやすい形に編集し、発信します。